平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法 lawForTreatmentOfPollution.htm

(平成二十三年八月三十日法律第百十号)

 第一章 総則(第一条―第六条)

 第二章 基本方針(第七条)

 第三章 監視及び測定の実施(第八条)

 第四章 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理及び除染等の措置等

  第一節 関係原子力事業者の措置等(第九条・第十条)

  第二節 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理(第十一条―第二十四条)

  第三節 除染等の措置等(第二十五条―第四十二条)

 第五章 費用(第四十三条―第四十五条)

 第六章 雑則(第四十六条―第五十九条)

 第七章 罰則(第六十条―第六十三条)

 附則

   第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故(以下本則において単に「事故」という。)により当該原子力発電所から放出された放射性物質(以下「事故由来放射性物質」という。)による環境の汚染が生じていることに鑑み、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、国、地方公共団体、原子力事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、国、地方公共団体、関係原子力事業者等が講ずべき措置について定めること等により、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「原子力事業者」とは、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第二条第三号

に規定する原子力事業者をいい、「関係原子力事業者」とは、事故由来放射性物質を放出した原子力事業者をいう。

2 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(土壌を除く。)をいう。

3 この法律において「土壌等の除染等の措置」とは、事故由来放射性物質により汚染された土壌、草木、工作物等について講ずる当該汚染に係る土壌、落葉及び落枝、水路等に堆積した汚泥等の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置をいう。

4 この法律において「除去土壌」とは、第二十五条第一項に規定する除染特別地域又は第三十五条第一項に規定する除染実施区域に係る土壌等の除染等の措置に伴い生じた土壌をいう。

5 この法律において「水道事業者」又は「水道用水供給事業者」とは、それぞれ水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第五項に規定する水道事業者又は水道用水供給事業者をいい、「水道施設」とは、同条第八項に規定する水道施設をいう。

6 この法律において「公共下水道」、「流域下水道」、「公共下水道管理者」、「発生汚泥等」及び「流域下水道管理者」の意義は、それぞれ下水道法昭和三十三年法律第七十九号)第二条第三号及び第四号、第四条第一項、第二十一条の二第一項並びに第二十五条の三第一項に規定する当該用語の意義による。

7 この法律において「工業用水道事業者」とは、工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第五項に規定する工業用水道事業者をいい、「工業用水道施設」とは、同条第六項に規定する工業用水道施設をいう。

8 この法律において「一般廃棄物」、「特別管理一般廃棄物」、「産業廃棄物」、「特別管理産業廃棄物」、「一般廃棄物処理基準」、「特別管理一般廃棄物処理基準」、「一般廃棄物処理施設」、「産業廃棄物処理基準」、「特別管理産業廃棄物処理基準」及び「産業廃棄物処理施設」の意義は、それぞれ廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第二条第二項から第五項まで、第六条の二第二項及び第三項、第八条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項並びに第十五条第一項に規定する当該用語の意義による。

9 この法律において「農用地」とは、耕作の目的又は主として家畜の放牧の目的若しくは養畜の業務のための採草の目的に供される土地をいう。

(国の責務)

第三条 国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、必要な措置を講ずるものとする。

(地方公共団体の責務)

第四条 地方公共団体は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、国の施策への協力を通じて、当該地域の自然的社会的条件に応じ、適切な役割を果たすものとする。

(原子力事業者の責務)

第五条 関係原子力事業者は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、誠意をもって必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力しなければならない。

2 関係原子力事業者以外の原子力事業者は、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(国民の責務)

第六条 国民は、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力するよう努めなければならない。

   第二章 基本方針

第七条 環境大臣は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策を適正に策定し、及び実施するため、最新の科学的知見に基づき、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 事故由来放射性物質による環境の汚染への対処の基本的な方向

二 事故由来放射性物質による環境の汚染の状況についての監視及び測定に関する基本的事項

三 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理に関する基本的事項

四 土壌等の除染等の措置に関する基本的事項

五 除去土壌の収集、運搬、保管及び処分に関する基本的事項

六 その他事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する重要事項

3 環境大臣は、第一項の規定により基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。

4 環境大臣は、基本方針につき第一項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 第一項及び前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

   第三章 監視及び測定の実施

第八条 国は、事故由来放射性物質による環境の汚染の状況を把握するための統一的な監視及び測定の体制を速やかに整備するとともに、自ら監視及び測定を実施し、その結果を適切な方法により随時公表するものとする。

2 地方公共団体は、国との適切な役割分担及び相互の協力の下、事故由来放射性物質による環境の汚染の状況について監視及び測定を実施し、その結果を適切な方法により随時公表するよう努めるものとする。

   第四章 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理及び除染等の措置等

    第一節 関係原子力事業者の措置等

(関係原子力事業者による廃棄物の処理等)

第九条 事故に係る原子力事業所内の廃棄物の処理並びに土壌等の除染等の措置及びこれに伴い生じた土壌の処理並びに事故により当該原子力事業所外に飛散したコンクリートの破片その他の廃棄物の処理は、次節及び第三節の規定にかかわらず、関係原子力事業者が行うものとする。

(関係原子力事業者による協力措置)

第十条 関係原子力事業者は、この法律に基づく措置が的確かつ円滑に行われるようにするため、専門的知識及び技術を有する者の派遣、当該措置を行うために必要な放射線障害防護用器具その他の資材又は機材であって環境省令で定めるものの貸与その他必要な措置(以下「協力措置」という。)を講じなければならない。

2 国又は地方公共団体は、この法律に基づく措置が的確かつ円滑に行われるようにするため必要があると認めるときは、環境省令で定めるところにより、当該関係原子力事業者に対し、協力措置を講ずることを要請することができる。

3 地方公共団体は、前項の規定による要請を受けた関係原子力事業者が当該要請に応じないときは、その旨を環境大臣に通知することができる。

4 環境大臣は、第二項の規定による要請を受けた関係原子力事業者が正当な理由がなくてその要請に係る協力措置を講じていないと認めるときは、当該要請を受けた関係原子力事業者に対し、当該協力措置を講ずべきことを勧告することができる。

5 環境大臣は、前項の規定による勧告を受けた関係原子力事業者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

    第二節 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理

第十一条から第二十四条 未施行

    第三節 除染等の措置等

第二十五条から第四十二条 未施行

   第五章 費用

(財政上の措置等)

第四十三条 国は、地方公共団体が事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策を推進するために必要な費用についての財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(この法律に基づく措置の費用負担)

第四十四条 事故由来放射性物質による環境の汚染に対処するためこの法律に基づき講ぜられる措置は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第三条第一項の規定により関係原子力事業者が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるものとする。

2 関係原子力事業者は、前項の措置に要する費用について請求又は求償があったときは、速やかに支払うよう努めなければならない。

(国の措置)

第四十五条 国は、第三条に規定する社会的な責任に鑑み、地方公共団体等が滞りなくこの法律に基づく措置を講ずることができ、かつ、当該措置に係る費用の支払が関係原子力事業者により円滑に行われるよう、必要な措置を講ずるものとする。

   第六章 雑則

第四十六条から第四十八条 未施行

(報告の徴収)

第四十九条 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、関係原子力事業者に対し、第十条第一項の規定により当該関係原子力事業者が講ずべき協力措置に関し、必要な報告を求めることができる。

(立入検査)

第五十条 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、関係原子力事業者の事務所、事業場その他の場所に立ち入り、第十条第一項の規定により当該関係原子力事業者が講ずべき協力措置に関し、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

第五十一条 未施行

(関係地方公共団体の協力)

第五十二条 国、都道府県及び市町村は、この法律に基づく措置の実施のために必要があると認めるときは、関係地方公共団体に対し、必要な協力を求めることができる。

(汚染廃棄物等の処理等の推進)

第五十三条 国は、基本方針に基づき、地方公共団体の協力を得つつ、汚染廃棄物等の処理のために必要な施設の整備その他の事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理及び除染等の措置等を適正に推進するために必要な措置を講ずるものとする。

(調査研究、技術開発等の推進等)

第五十四条 国は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策の総合的かつ効果的な実施を推進するため、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を低減するための方策等に関する調査研究、技術開発等の推進及びその成果の普及に努めなければならない。

(知識の普及等)

第五十五条 国及び地方公共団体は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に関し、国民の理解と協力を得るため、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響及びその影響を低減するための方策に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。

(原子力安全委員会の意見)

第五十六条 環境大臣は、第二十条、第二十三条第一項及び第二項、第二十四条第一項及び第二項、第四十条第一項並びに第四十一条第一項の環境省令の制定又は改廃をしようとするときは、あらかじめ、原子力安全委員会の意見を聴かなければならない。

(権限の委任)

第五十七条 この法律による権限は、政令で定めるところにより、地方支分部局の長に委任することができる。

(環境省令への委任)

第五十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、環境省令で定める。

(事務の区分)

第五十九条 第三十四条第一項から第四項まで、第三十五条第一項(第五号に係る部分に限る。)、第二項及び第三項(同条第一項第五号に係る部分に限る。)、第三十六条第一項、第四項(第三十七条第二項において準用する場合を含む。)及び第五項(第三十七条第二項において準用する場合を含む。)、第三十七条第一項、第三十八条第二項(第三十五条第一項第五号に係る土壌等の除染等の措置に係る部分に限る。)、第四項(第三十五条第一項第五号に係る土壌等の除染等の措置に係る部分に限る。)、第七項(第三十五条第一項第五号に係る土壌等の除染等の措置に係る部分に限る。)及び第八項、第三十九条第一項から第四項まで(第三十五条第一項第五号に掲げる土地における除去土壌等の保管に係る部分に限る。)及び第五項、第四十九条第五項、第五十条第五項並びに第五十一条第三項、第四項及び第五項の規定により都道府県又は市町村が処理することとされている事務は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

   第七章 罰則

第六十条から第六十三条 未施行

   附 則 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第四章第二節及び第三節、第四十六条から第四十八条まで、第四十九条(第一項を除く。)、第五十条(第一項に係る部分を除く。)、第五十一条、第六十条、第六十一条、第六十二条第一号、第二号、第三号(第四十九条第一項に係る部分を除く。)及び第四号(第五十条第一項に係る部分を除く。)並びに第六十三条の規定は、平成二十四年一月一日から施行する。

(準備行為)

第二条 第十一条第一項、第二十五条第一項及び第三十二条第一項の規定による指定並びに第二十五条第一項、第三十二条第一項、第四十条第一項及び第二項並びに第四十一条第一項及び第二項の環境省令の制定並びにこれらに関し必要な手続その他の行為は、前条ただし書に規定する規定の施行前においても、第十一条、第二十五条、第三十二条、第四十条並びに第四十一条第一項から第三項までの規定の例により行うことができる。

2 第十三条第一項の対策地域内廃棄物処理計画、第二十八条第一項の特別地域内除染実施計画及び第三十六条第一項の除染実施計画の策定に関し必要な手続その他の行為は、前条ただし書に規定する規定の施行前においても、第十三条、第二十七条、第二十八条、第三十四条及び第三十六条の規定の例により行うことができる。

(検討)

第五条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

第六条 政府は、放射性物質により汚染された廃棄物、土壌等に関する規制の在り方その他の放射性物質に関する法制度の在り方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づき、法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする。

第七条 政府は、原子力発電所において事故が発生した場合における当該事故に係る原子炉、使用済燃料等に関する規制の在り方等について検討を行い、その結果に基づき、法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする。